MUSICA ELETTRONICA VIVA/FRIDAY
AMMと時は同じくして発生したMEV1969年ライヴ録音作。静寂の狭間に放置されたモールス信号を解読していくかのような、奇妙で、それでいて不穏な実験抽出。と同時に後にイーノが提唱したアンビエント・ミュージックの音響空間を作り上げ、あらゆる音楽的方向性は放棄されると同時に可能性として鳴り響く。奇跡の復刻。
INTERNATIONAL HARVESTER/SOV GOTT ROSE-MARIE
今は昔プログレ界隈において「フランスのイエス」とか「南米のクリムゾン」だの「ドイツのELP」といったバンドにとってみればはた迷惑な形容が目立ったが、これまた北欧のアモン・デュールと呼ばれる存在の名作(1969)。しかしプログレ5大バンドを冠とした形容が支配していたのに対し、アモン・デュールというちょっとアンダーグランドな部類の形容がプログレの深い森の中にいる人々にとっては否が応にもアンテナに引っ掛かるというもの。サイケデリック・アンダーグラウンドの如し「部族的な何か」的な稚拙さとフリー・フォームに傾倒するが故の音が螺旋状にカオスを生み出してはいるものの、小鳥のサエズリ、トラッド的な長閑さといい、若干イケメン面なのがちょいと気に食わない。
FUNKADELIC/FREE YOUR MIND...
- アーティスト: Funkadelic ファンカデリック
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NOCTURNAL EMISSIONS/TISSUE OF LIES
インダストリアル黎明期における革命はおおよそTGにその大半を譲るが、NEはノイズをブラフとして利用し、徹底的に操作された孤高の情報戦に挑んだ。その『心理戦における戦法』も辿れば辿るほど「無意味」「不毛」を導き、これを単に悪夢として片付けるには些か短絡的にあり、人の世における不毛さを絶対に通信不可能な孤島より1000の方法を以って届けようとするかのような回りくどいイデオロギストなのである。これはNEの歴史的1stにしてテープ・コラージュの限界に挑んだのか挑まないのかはいざ知れず、NWWの初期にも引けを取ることのない不毛性と無垢な赤ん坊が殺人を犯す絵のような悪趣味さが際立つ。
ART ZOYD/SYMPHONIE POUR LE JOUR OU BRULERONT LES CITES
都市が燃える日のための交響曲。この得も言われぬ絶体絶命的不安感。難解という袋小路に陥ることしか出来なかったプログレのパラドックスに真正面から立ち向かってみせたのはRIOの兵ども。その兵どもが夢の如く初期アール・ゾイドはHENRY COWのマニフェストに賛同したかのような音像を示し、またそれらアーティスト同様に触れると迷宮に変化する広範囲のパラダイムを有している。現在は無声映画に音を与える続けるのが宿命のその道のヴェテラン風になっているが、この1976年発表の1stはフリー・ジャズのピリピリした覚醒とヘンリー・カウとアモン・デュール?とザッパが三位一体になったような奇妙なアナーキズムが支配している。パリは燃えている。
時をかける少女
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ただ多くの人がそうであるように学生時代に救いのないような生活を送ってきた者にとってはかなりの苦行を強いる作品であり、ポジティヴな映画のはずが現実との乖離感によってひたすら憂鬱になるので相当の注意が必要である。
ORNETTE COLEMAN/THE SHAPE OF JAZZ TO COME
- アーティスト: オーネット・コールマン
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さてそうは言っておきながらも初期オーネット・コールマンにフリージャズの原型なるものをいつまで経っても俺は感じることが出来ず、モダン・ジャズの『個性の音楽』なる形容に、その発展をオーネットに重ね合わすのである。脱構築型にして破綻を来す前のジャズの美がまだ少なからず残っていた時代にオーネット・コールマンは新星として出現した。その美は少なからず形式的フリー(未来)を凌駕し、あくまで「楽しい」ジャズに終始。これは当時コンテンポラリー(アトランティック・レコード)に残した1959年録音作、革命児の面目躍如たる鮮烈なフリーク・トーン(メロディーの変容)に相反してビバップの喧騒、ブルーズの土臭さを一挙に纏った傑作。オーネットに対する連なる罵詈雑言、その心は『嫉妬』である。