DEXTER GORDON/GETTIN' AROUND

ゲッティン・アラウンド+2

ゲッティン・アラウンド+2

どうも冬になるとアヴァンギャルドとはいかず暖を取れる懐の深い哀愁を求めてしまう。哀愁というのは雰囲気言語であり音楽に哀愁、ムード、ロマン云々と言語化するとどうも胡散臭さが漂って本来の音楽が薄まってしまうことがある。しかしデクスター・ゴードンのテナーは哀愁をアイコン化したもので、テナーで歌わせればコルトレーンソニー・ロリンズはお呼びでないぐらいに超一級のプレイをこなす。立ち向かえるのは志向は違えどベン・ウェブスター。更には前知識として私のような後追い世代は40年代にあのビリー・エクスタイン楽団の一員でソニー・ロリンズコルトレーンもまだ浮上していなかった頃にトップ・プレイヤーの一人であったが麻薬で50年代を棒に振り奇跡の60年代の復活を遂げるという劇場型ジャズ・マンという認識が些か思い入れ深いものにしている。日本人はこういうサイド・ドキュメントにホントに弱い。アート・ペッパー然り。
というわけで復活したデクスター・ゴードンブルーノートに吹き込んだ一連の作品は聴いて感動することはあっても失望することは先ずない。そんな中でも黒いオルフェで有名なこのゲッティン・アラウンドは疲弊を癒す寝る前に最適である。因みにこれを書いている今は何を隠そう午前9時50分辺り、そう、ずっと眠れないのだ。