THE BEACH BOYS/SMILE -UNSURPASSED MASTERS VOL. 16(1966^1967)

具体音と環境音の多用、ツギハギだらけのメロディ。カット・アップ。アルヴェール・マルクール。ロー・ファイでキッチュな構成。ドローン。ミニマル。ラ・モンテ・ヤング。ポップス。ポール・マッカートニー。ジム・オルークもクリスチャン・マークレイもFAUSTもいなかった時の最大の発明はブライアン・ウィルソンに尽きる。『神に捧げたティーンエイジ・シンフォニー』とは実に言い得て妙也、その代償にブライアンも精神を崩壊させたとあっては、神もまさしく悪童か。パンドラの箱はブライアンの頭の中にあった。TODAY!迄の約束されたスターダムはpetsoundsを以って犬の音楽と呼称され（マイク・ラヴは『ブライアンは犬の耳のように信じられない音まで聞こえるのさ』という意味を込めてそう言ったそうな）、ついには独り永久音楽劇場である。その他メンバーはきっとブライアンの事がポップス界のモーツァルトでもメインストリームのならず者でも何でもなく「壊し屋」小沢一郎に見えたに違いない。
2004年ブライアン本人の手をもって一応の完結をみた「smile　story」ではあるが、やはり1967年ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの頭の中にあった「smile」は永遠のミステリー対象である。このsmileは勿論コレクターズ・アイテムであるが、2004年版smileへのヒントともなった傑作。Surf's Upはやはり最終曲が一番。