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欲望

欲望

長年ディランというアーティストは私の中では「難解」なアーティストになってしまっている。というより、面倒くさいアーティストでもある。単に聴いただけでは到底理解し得ない詩世界は何言っているのかさっぱりわからない英語と相まってほとんど無視状態となってしまっているし、胸をはってディランのファンだとはとてもじゃないが言えない。でも数えてみるとディランのCDはやたらと持っていたりする。いつかきっと・・という思いを込めて熟成させているんだと思い込ませている、自分に。
それでもまぁディランを聴いていて何回かに一度はビビビっとくる夜はあるわけで、とりわけこの「欲望」はメロディ・ラインもディランにしては落ち着きがあって、よく聴く一枚ではある。全編ヴァイオリンが導入されていてエスニックな匂いをはなち、あまり変わってはいないはずなのにディラン自身もしっかりと腰を据えた風すらある。そして、ビールによく合う。これが重要だ。
よく聴くディランのレコードはダントツで「フリー・ホイーリン」。たまに聴くレコードは「血の轍」「プラネット・ウェイヴス」。丑三つ時、激しい雨が降り、ディランを聴く。ビールを飲む。生きるのに必要なことは他にないんだ、と思う。