MOTT THE HOOPLE/THE HOOPLE

あなたは誰になりたいか、と問われると出てくる答えは決まってイアン・ハンターやデヴィッド・ボウイ。声に出して『ロックンロール』と言った時の恥ずかしさは親にオナニーを見られた時のような羞恥と似たようなものがある。修学旅行における「好きな子は誰や」トークのノリである。ある種の秘密を共有し、結局その秘密は周知に知れ渡り、秘密自体何だったのか分からなくなるノリである。スーパーマリオで無敵になり突っ走るあのグルーヴ感である。グラム・ロックの雄、モット・ザ・フープルはそんな「辱め」を快楽に変える事が出来た稀有なバンドの一つである。書いていて恥ずかしくなったのでもう止めるが、俺はまだ「すべての若き野郎ども」に含まれていると信じたいがためにモット・ザ・フープルを聴くのである。