DUKE ELLINGTON/HI-FI ELLINGTON UPTOWN

Hi-Fi Ellington

Hi-Fi Ellington

JAZZを意識的に聴いている人で余程のことがない限りデューク・エリントンやバード、サッチモと言った偉大なイノヴェイターに対し批判的な態度をとることは難しい。多分ベートーベンやモーツァルトを批判するような感覚と同じでおいそれと触れることが出来ないテリトリーにその彼らは存在する。かと言って私/あなたは彼らのレコードを数十枚にわたって聞いたことがあるかとなるとほとんどの人が聞いていないと思われる。私/あなたの好きなモンクやコルトレーンはデュークを尊敬し、だからデュークやバードは偉い人なんや、と逆説的に我々は彼らを意識する。これは実に不幸な出来事である。
しかしこの話は無かった事にしても、デューク・エリントンの音楽は聞きやすいようで聴き難い。その逆もまた然りで聞き難いようで聴き易い。カウント・ベイシー楽団と違い、重い。重厚で濃厚、例えるならばキャバクラというより熟女パブ。その嘆きの壁により我々は躊躇してしまう。躊躇した経験が次第にトラウマとなり1回聞いて「あぁ・・・」となってしまう。
嘗て私は同じ会社の人と熟女パブへ行った。それは私にとって忌々しい記憶でしかないのだが、とある共通の知人曰く「彼らが何故熟女パブへ行くのか、それは触っても怒られないから」。
そこで偉大なデュークへの第一歩として紹介するのがこの51年(〜52年)録音の名作アップタウン、デューク・エリントンのポピュラーな楽曲を取り上げている分初心者には打ってつけの名盤である(MONEY JUNGLEはデュークがピアニストとしていかに偉才であったかを知る作品ではあるが、デュークを知る第一歩としてはお勧めしない)。