HOPES AND FEARS

Hopes & Fears

Hopes & Fears

元々Henry Cowの1枚として急遽製作されたものだが、活動の重心はArt Bears誕生へと傾く。演奏は随分とソリッドになりよりダグマーの声に吸引されていく歌ものへシフト、断続する痙攣気味のヴォイスがカサブランカ・ムーンの影もない物の怪サウンドへ変容。突然変異に彩られた彼らの1stであるがその真意はクリス・カトラーの詩にありフレッド・フリスのStep Across The Borderへの第一歩となった。執拗な強迫観念とフィジカルな意味での『それから・・・』。

クリス・カトラーによる手記
1970年代の終わりまで私たちは後にポストモダンと称される時代にしっかりと位置していた。ある種の中心が明らかに崩れ、振り返ってみるとそれはまるでHopes and Fearsが、殆どそんなつもりではなかったとは言え、人生が迷宮化することへの主観的個人の反応を通して、ある部分で、本能的な抵抗で表現された一種の共通意見を示そうという試みを意味していたかのようだ。嫌がる個人たちがあらがい、そのあらがいが証明となる侵食に逆らうひとつの世界があった。かつて存在したことのない世界かどうかは問題ではなかった。世界は存在しない。私たちは未だに全人生を費やして、全人生のために均衡し、戦い、そうすることで世界が存在する。