三上寛/三上寛のひとりごと

三上寛のひとりごと(紙ジャケット仕様)

三上寛のひとりごと(紙ジャケット仕様)

独り言。
不毛、という言葉が好きだ。この一語で大よそ人生の終着地へ辿り着けるかのような錯覚と慰めにも似た安堵を感じることができる。虹ですら15分たてば人はもう、見向きもしないのである。
三上寛の詩、唄は多分ずっと前から、そしてこれから先も不毛の果てにあり、その先にある。大半の唄は人の心を抉ったり突き刺したりはせず、同意を求め、過剰な装飾に守られ、平和である。三上寛の唄は人の心を抉り突き刺し、同意は求めず、装飾を放棄し、孤独である。三上寛の唄・詩をモラトリアムに哲学書の如く聞いてきたものにとっておそらくその後の人生はマジョリティ的に、決して明るい未来は無かったはずである。しかしマジョリティ的に明るい未来の胡散臭さは多分誰よりも知ることが出来るのかもしれない。